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ペットと一緒に入居できる老人ホーム

投稿日:8月 25, 2017 更新日:

「一緒に暮らせないなら、いっそこの子と死のう」
入退院を繰り返す高齢の飼い主は、猫のYちゃんと死ぬことを考えるまで追い詰められていました。その飼い主を救ったのが、ペットと一緒に入居することができる日本で唯一の特別養護老人ホーム「さくらの里 山科」でした。

「さくらの里 山科」は、京浜急行線 横須賀中央駅から車で20分のところにあります。4階建ての2階が、犬や猫と過ごす事が出来るフロアになっています。高齢者40名と犬・猫15匹が、この施設で暮らしています。

この飼い主と猫のYちゃんの出会いは10年前に遡ります。
捨てられる寸前だった子猫を飼い主が見掛け、そのまま飼うことにしました。
子供の頃から犬と一緒に生活してきた飼い主にとって、動物と暮らすのは当たり前のことです。
既に高齢だった飼い主は、犬だと腰痛で散歩が辛いけど猫ならと引きとることにしました。

しかし、Yちゃんと暮らし始めて6年が経った頃に、飼い主は立って歩けなくなりました。倒れてしまうこともあり、その度に祐介は背中に手を回して起こそうとしたのです。飼い主が自宅の階段を上るときも、2段・3段と前を行き、まるで誘導してくれるかのように一緒に階段を上ってくれたと言います。

深まっていくYちゃんとの信頼関係と反して、飼い主は脊柱管狭窄症から歩行が困難になり、入院してYちゃんと離れることが増えていきました。飼い主は「Yちゃんを引き取った63歳の時には、ここまで体力的に衰えることは考えもしなかった。入院のたびにYちゃんと離れるのが寂しかった」と言います。

ちゃんとYちゃんのお世話をしてあげたいという気持ちが募り、心労から食欲がなくなり、病状は悪化していきました。「これ以上、Yちゃんと離れるのは耐えられない」と思うようになった頃、姪が「さくらの里 山科」を見つけてきたと言います。

Yちゃんは入居したその日のうちから、水道からちゃんと水を飲み、先住猫とも仲良くなりました。飼い主は入居当時は食事も食べられず寝たきりでしたが、次第に元気を取り戻し、今では自力で立って歩けるようになるまで回復しました。飼い主は「Yちゃんが先に慣れてくれたから不安がなくなった」と、Yちゃんを膝に乗せながら思い返します。

入院や老人ホームへの入居に際に、長年連れ添ってきたペットを手放さないといけない人が少なくありません。「さくらの里 山科」の施設長 Yさんは、「人生の最後に家族を殺してしまった」と後悔しながら亡くなっていく人をたくさん見てきました。

大切な家族と一緒に暮らせるようにしたい。
Yさんはそういう思いで、「さくらの里 山科」を開設しました。

高齢者の世話と犬や猫の世話をしなければいけないので、介護職員はさぞ大変だろうと思いきや、以外にもそうではないようです。
「さくらの里 山科」の床は、重度の認知症患者が失禁しても掃除しやすいように、液体が染み込みにくい素材でできています。そのため、犬・猫の粗相も簡単に掃除することができます。また、この床はクッション性が高く滑りにくいので、犬や猫が滑ってケガをするリスクを下げることができると言います。介護職員には、犬や猫の散歩やエサやりという追加作業が増えるものの、動物好きの介護職員ばかりなので、むしろ仕事のモチベーションは高い職場だとYさんは言います。

ペットと共に入居できるということは、さぞお高い入居費用がかかると思いきや、これも予想を裏切られてしまいます。ペットと共に入居する人は、ペットの餌代や消耗品代・医療費の負担が必用です。しかし、それ以外は高齢者自身の基本サービス費(要介護5なら1割負担で30日2万8027円)と、公的基準で定められている住居費と食費(3万3600円~13万4000円)のみで、別途犬や猫の世話代はかかりません。

「さくらの里 山科」には、先日飼い主を亡くした1匹のポメラニアンが暮らしています。
飼い主は末期がんで亡くなりまいした。
余命半年の宣告を受けた時に、愛犬と離れて暮らすのを拒み、居住する市町村のホームではなく千葉県から入居しました。

亡くなったのは入居から10ヶ月後。
宣告された余命を6ヶ月も延ばすことができました。
Yさんは、「死後に愛犬を路頭に迷わせてしまう不安から解消されたことによって、余命が伸びたのではないか」と言う。

「さくらの里 山科」は、自分では飼っていないが犬や猫と暮らしたいと入居してくる高齢者も多ため、保健所から犬や猫を保護しています。
犬や猫とのふれあいを通じ、手の関節が硬くなり動かなくなっていた高齢者が、犬や猫をなでたい抱っこしたいという気持ちから手を頻繁に動かすようになり、リハビリに繋がりました。またある認知症患者は犬の名前を覚え、それをきっかけに家族の顔と名前が分かるようになりました。このユニークな取り組みの恩恵を受けているのは、飼い主だけではないようです。

しかし、残された犬や猫にかかる費用は全て施設持ちです。
現在、クラウドファンティングで1年分の医療費を募っており、6割まで集める事ができました。
犬の散歩などは、地元ボランティアにも助けられています。

最期まで愛するペットと生きたいという思いを支える動きが、現在広がりつつあります。




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