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殺処分は減少と言うけれど・・・

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埼玉県の国道沿いにある某施設
砂利敷きの駐車場に、次々と車が駐車場に吸い込まれていきます。ここで週に1度、業者向けのペットオークションが開催されています。

売り手は関東の一円のブリーダー。
プラスチックケースに詰め込んだ子犬や子猫を、オークション会社のスタッフに手渡します。スタッフは手際よくダンボール箱に詰め替え、箱の側面に品種や性別を記入していきます。

これらの犬や猫たちは、店頭で「生体展示販売」するためにペットショップの経営者たちが競り落としていきます。この日だけで約700匹(犬8割、猫2割)が競り落とされると言います。

みるみるうちにダンボールが積み上げられ、この箱全てに子犬や子猫が詰められていきます。
箱詰めされた子達は、獣医による健康チェックで最期のふるいにかけられます。

健康チェックでは、目の角膜に曇りはないか。
膝は脱臼していないか。
心雑音はないかなどを確認していきます。
問題があれば競には出されず、不要子犬・子猫となります。
獣医による健診と言うよりも、商品の品質検査と言ったほうが正しい感じです。

これら健診を行なう獣医は、大手ペット保険会社から派遣されています。主だった保険会社は、ブリーダーやペットショップなどのペット流通業者の業界団体・流通協会の賛助会員です。

オークション会場の脇のプレハブ小屋には、檻に入った成犬。同様に成猫も。どちらもブリーダーやペットショップが、年齢や健康上の問題で「販売に適さない」として持ち寄ったものです。

同協会のU会長は、過去5年間で4993匹の不要犬・猫を引き取ってきました。
うち約500匹は、ブリーダーでもあるU会長が直接引き取っています。
U会長は、繁殖現場を見て犬や猫を保護する必要性を感じたと言います。
「柴犬のブリーダーをしていたが、健康を害して犬の世話ができなくなっていた。繁殖場は新聞紙と排泄物が層を成し、その傍らに白骨化した犬の死体が転がっていた」と言います。
このような惨状では、ペット流通を嫌悪する人が世の中に居るのは当然だとU会長は感じました。

ブリーダーが経営破綻などで犬を世話できなくなり、犬舎を見捨てて逃げ出すことを、動物愛護団体は「崩壊」と呼びます。半場崩壊状態だった同業者を見て、U会長は業界として犬や猫のシェルターを作るべきだと考えました。

同協会は、6つの動物愛護団体と協力関係にあります。
不要犬や猫をこうした団体を経由して里親家庭にもらわれていきます。また、同協会のペットショップからは、協業愛護団体に対してペットフードの寄付が行なわれていて、持ち持たれずの関係です。

この業界と動物愛護団体は水と油の関係でした。
しかし、お互いにけなすだけでは何も変わりません。

そもそも、シェルターや里親探しをしなくても、大量繁殖や生体展示販売をやめさせれば、不要犬や猫は減らせるのではないでしょうか。
U会長は「それはありえない」と言います。

消費者自身がペットショップでかわいい犬や猫に出会うことを求めているからです。U会長のような流通業者は、単にこういした消費者の需要に応えているだけで、何か悪いことをしているわけではないのです。

ペット流通の末端であるペットショップでは今、ペットの価格が高騰しています。
上記施設での8月時点でのオークションでの落札価格が、1匹当たり8万8000円。12年度に比べて、約2倍の水準です。これは、ペットショップのプレーヤーが変わったことと関係あります。

2000年代に入り、ペットショップ業界では大手チェーンのシェアが拡大しています。1990年代には、100店規模のチェーンはありませんでしたが、現代ではそういう巨大企業が複数あります。
こうした大手は、犬や猫の販売後のクレームを何よりも嫌う傾向にあります。そのため、商品である犬や猫の調達において、各店舗にバラまけるだけの個数を確保すると同時に、見た目が良いか健康かといった品質面にも厳しいチェックを行ないます。例えば、過去には少々心雑音が入るくらいの犬や猫なら店頭にならんでいましたが、今では店舗側が「商品にならない」とハネるようになったのです。ペットの価格が上昇した裏には、このような品質重視主義の背景があったのです。

しかし、これが事実なら、「商品にならない」という理由で処分される犬や猫の数が上昇しているということになります。価格高騰を受けて、若い世代が「儲かるから」とブリーダー業に踏み入ることも懸念されています。

家電や食品でも、大量生産・大量販売されるものには必ずサプライチェーンの中でロスが生じます。
生産や輸送の段階での不良や傷、需要期を逃したことでの過剰在庫。
これらは廃棄や処分の対象となります。

しかし、犬や猫は工業製品ではなく命なのです。

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